本校研究室とJA全農山形との共同研究の成果がMDPI国際学術誌の「Sensors」に掲載されました

鶴岡工業高等専門学校 創造工学科 情報コースの金帝演准教授、専攻科生の皆川大地さん、齋藤大輝さん、電気・電子コースの保科紳一郎准教授、神田和也教授による論文「Development of KOSEN Weather Station and Provision of Weather Information to Farmers」が、MDPI国際学術誌の「Sensors」に掲載されました。

「Development of KOSEN Weather Station and Provision of Weather Information to Farmers」
Jeyeon Kim, Daichi Minagawa, Daiki Saito, Shinichiro Hoshina and Kazuya Kanda

論文は以下から無料でダウンロードできます。
https://www.mdpi.com/1424-8220/22/6/2108

概要
 近年、農業分野における環境情報のモニタリングは重要な課題となっており、農業従事者が所有する田んぼやハウスなどのローカルエリアにおける気象情報のニーズが高まっています。従来、ローカルエリアにおける気象観測所に関する研究は盛んに行われていますが、安価で高精度、かつ屋内外で長期間に渡って安定して計測できる気象観測装置の検討は不十分です。また、気象情報の取得、気象情報の蓄積、農業従事者への気象情報提供を同時に行う研究は報告されておりません。
 本システムは圃場に設置したKOSEN版ウェザーステーションから得られた気象情報をクラウドサーバにアップロードするものです。クラウドサーバはこれらの気象情報を蓄積し、農業従事者に気象情報とアラート通知を提供します。本研究では、まずAßmann式簡易版気象観測装置(KOSEN-Weather Station)を開発しました。そして、KOSEN-WSを圃場に設置し、KOSEN-WSの安定性と耐久性を検証しました(図1)。KOSEN-WSを実際圃場に設置した結果、19ヶ月以上にわたって安定して動作すること、-16.5℃から44.9℃の環境下で連続稼働できることを確認しました。クラウドサーバに蓄積された気象情報を、農業従事者にわかりやすく提供するためのWebページも作成しました(図2)。さらに、農作物の被害を防ぐために、現在の気温が設定温度より低い場合、または現在の気温が設定温度より高い場合は、農家にアラートを送信する機能を付しました。その結果、農業従事者やJA職員から高い評価を得ることができ、本システムの有効性が示されています。

図1 圃場に設置したKOSEN版ウェザーステーション
図2 農業従事者への情報提供