第59回産業技術フォーラムを開催しました

 11月11日(土)、本校8号館において、第59回産業技術フォーラムを開催しました。今回は『新材料によるゲームチェンジ ― データ社会におけるカーボンニュートラル実現のためのメモリ、センサ材料 ― 』と題し、国立大学法人 東京工業大学 物質理工学院 教授 舟窪 浩 氏よりご講演いただきました。

 はじめに、自己紹介・職場紹介を行っていただいた後、「データ社会」の定義についてご説明いただきました。これまではIoT(様々な物をインターネットに繋ぐこと)によって人々の生活水準が向上してきましたが、日本では少子高齢化が急速に進んでいるため、あらゆる業種における労働者不足をセンサーネットワークで補っていく必要性に迫られており、IoE(物だけではなく、人やデータなども含めた「すべてのモノ」をインターネットに繋ぐこと)によって安全・安心な社会を構築していく必要がある旨、お話いただきました。この「データ社会」の構築に伴い、センサやメモリ等における消費電力も膨大な量となってしまうため、地球温暖化防止の観点から、カーボンニュートラルの実現も並行して進めていく必要がある旨、ご説明いただきました。

 続いて、ご自身の研究内容に基づき、超省エネルギーで稼働するコンピューターシステムを構築する高性能で環境に優しい材料をいくつかご紹介いただきました。スマートフォンやデジタルカメラなどの私たちの身の周りにおけるあらゆるOA機器が、ヒ素や鉛等の毒性元素も含んで構成されていることにも触れ、材料として利用される毒性元素を排除していくことや、カーボンニュートラル実現に向けた新材料の開発の重要性についてお話いただきました。

 参加者一同、最先端技術による新材料について理解を深めることができ、新たな視点から環境問題や社会の構築について考える貴重な機会にもなりました。ご講演いただいた舟窪先生、ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。

 
舟窪 浩 氏