高専とは?

高専は高等専門学校の略称です。工専じゃないので気を付けてね。

全国には、国立高専51校、公立高専3校、私立高専3校があり、工学系以外にも、商船やビジネス系コースのある高専もあります。

高専教育の特色は、

  • 中学校卒業後の15歳からの早期専門教育
  • 5年一貫教育
  • 実験実習を重視したカリキュラム

にあります。また、5年での卒業後、更に2年間学ぶ専攻科課程も併設されており、高専で大学卒業資格(学士号)を取得することも可能です。

高専制度について更に詳しい説明

 

中学校を卒業してすぐに専門教育って難しいんじゃない?って思うかもしれません。
でも、本当のところ、逆なんです。

技術や専門的な知識はそれを実際に活用できることが大事です。高校や大学のカリキュラムは、座学(授業)で理屈の部分を多く勉強し、実際に学んだ知識を活用する実験や実習をおこなう経験は少ないのが現状です。高専では、実験・実習を通して体験しながら、それを理解するために必要な理屈の部分を補っていきます。なので、理屈は分かるけど使えないといった状況が生まれにくく、卒業後、実際に社会で役立つ技術が身に付きます。

例えば、体育系の部活動でいきなり本を読んで知識勉強からってこと、ないですよね。実際に体を動かしてみて、うまく行かない部分の改善や、より良くするために理屈の部分を身に付けていくと思います。高専の学びはこれと一緒で、考えてみるとすごく普通の流れなんです。

 

5年一貫教育の利点

高専は高校と大学を合わせたような学校です。高校から大学へ進学という進路と比べたときの利点は、高校3年生での受験勉強がないことです。

高校では学習指導要領(国が決めた学習内容)、大学受験が念頭にあるため、勉強する範囲が定められています。これって、実はすごくもったいないんです。高校で勉強する知識で理解できることは、本当はもっとたくさんあり、中には大学で勉強することを先に学んだ方が全体が分かりやすくなる部分は少なくありません。高専では「博士号」を持った教員がほとんどで、最先端の研究との関連を含めて、低学年から高校の範囲に限定せずに学ぶことが出来ます。

高専3年生と高校3年生の違い!?

大学受験では、高校3年間で学んだほとんどの教科について復習しながら受験勉強をしなければいけません。その時、高専の3年生は何をやっているでしょうか?
高専では通常の部活動の他に、ロボットコンテストやプログラミングコンテストなど色んなコンテストに参加することが可能です。高専の3年生は、そうしたコンテストにチャレンジしたり、自分の興味がある分野の勉強を独自に進めたり、あるいは資格取得に挑戦したりなど、自分の興味に応じて、そして目指すべき将来を見据えた学びを進めることが出来ます。

大学受験はいわば、授業で学んだ事の理解度を100%に近づける努力をする場です。一方で、学びにはもう一つ方法があり、それまで学んだ内容を一定程度理解できているならば、次の内容をどんどん学ぶ方法です。100%理解することは難しくても、学んだ量が200%になればその7割くらいを理解することは意外とみんな出来、その中に元の100%分も自然と含まれているのです。例えば、小学生の時に分からなかったことも、中学生になって振り返ってみると簡単に感じる事ありますよね。それと同じです。

 

全国高専ネットワークを活用した教育環境

国立高専51校はそれぞれ独立した学校ですが、国立高専機構という母体を基にして様々な面で連携しています。

高専体育大会

部活動では、1-3年生の間は高校総体などの高校の大会に出場することも可能です。一方で、高専間で実力を競い合う高専体育大会もあり、高専は基本的に各県一校ですから、鶴岡高専の場合はいきなり東北大会です。それを勝ち抜くと全国高専体育大会に出場することが出来ます。競技だけでなく、他高専の学生と交流することが出来る機会にもなっています。

 

技術を競うコンテスト

高専ネットワークを活用した様々なコンテストが企画されており、自分の興味に応じて、授業外でも様々なイベントに挑戦することが可能です。代表的なものとしては、

などがあります。これ以外にも、デザインコンペティション、英語プレゼンテーション、サイバーセキュリティなど、様々な活動が毎年行われています。実際の活動の様子を見ていますと、ロボット開発で電気系を専門とする学生が機械系部分の開発に挑戦したりと、普段の学習内容にとらわれずに様々なことに挑戦しており、大変なことも多いと思いますが、本当に楽しく、そして責任感をもって取り組んでいます。チームで長期間にわたり切磋琢磨する経験は何ものにも代えがたいですね!

 

他高専の授業が受けられる!?

近年の新たな取り組みとして、高専間単位互換制度というものがあります。これは、平たくいうと、他高専の授業が、遠隔授業で受けられるシステムです。各高専が2,3個ずつコンテンツを準備していますので、自分の高専にはない授業も、興味があれば受けられるようになっています。普段とは違う先生に教わる事も、良い経験だと思います。

 

高専の先生はみんな研究者!

高専の先生は授業や生活指導、部活動顧問などの皆さんが想像する先生のイメージとは違った側面を持っています。それは、研究者という面です。ほとんどの先生が博士号を持っています。それ以外にも、民間企業で働いていた先生、外国出身の先生など、いろいろな経歴を持った先生がいます。社会で実際に必要とされている技術や最先端の研究との接点を知りながら学べる環境はとても刺激的です。
また、研究とは、答えが分からない問題と向き合い、失敗を繰り返しながら少しずつ前へと進んでいくものです。時には挫折しそうになりそうなこともありますが、あきらめずに常に学びを継続していく姿勢を先生たちは応援しています。先生自身が学びを継続しているからこそ、学ぶ者の気持ちが分かるのかもしれません。

鶴岡高専教員の研究へ

 

卒業後の進路について

高専卒業後、進路として大きくは「就職」か「進学」のどちらかになります。どちらにするかは、基本的に、自分がその後どのようなキャリアを歩みたいかによります。

 

企業から熱望される高専生

これまでの卒業生の活躍もあり、高専への求人倍率は例年10倍を超えており、多くの大手企業や地元企業へ高専生の特別枠(学校推薦)という形で就職することができます。現在大卒と同じ待遇で採用をしてくれる企業が増えているので、就職後も大きな可能性に満ち溢れた選択をすることが出来ます。

学校推薦にて就職活動をする利点は、面接回数が他の一般応募の場合と比べて少なくなるなど優遇措置を取ってくれるため、希望する企業に入りやすい事です。大学生の就職活動と比較すると、かける時間や労力は圧倒的に少なく、学業と両立した就職活動を行うことができます。

また、大手企業の場合は県外勤務となる場合が多いですが、地元企業からも多く求人を頂いており、地元に残って活躍したい場合にも多くの選択肢があります。自分の歩みたい進路に合わせて多くの選択肢を検討できることが高専から就職することのメリットです。

自分の強みを生かした進学

進学の場合は大学3年生への編入学、高専の専攻科への進学の2択が基本となります。編入学試験は「推薦選抜」と「学力選抜」の2種類があります。推薦選抜枠は近年増加傾向にあります。

学力選抜では、英語が必須になる事は多いですが、それ以外は基本的に自分の得意な専門科目のみで受験が可能です。大学受験と比較すると、社会や国語といった文系科目が必要なく、普段の勉強の延長線上で取り組みが出来るといった利点があります。また、

国立大学の編入学試験日程は大学ごとにばらばらになっており、

日程さえ重ならなければ何校でも受験できる

といった利点もあります。
また、最近では理工系以外の分野に進学する例も少しずつ増えてきています。工学分野の裾野は広く、我々の生活のいたるところにその技術は活用されています。例えば医療関係で働く人と言えばお医者さんや看護師さんですが、病院で使う道具や機器の開発には工学の知識が必要となります。他にも、経済と言えば文系をイメージする人も多いかと思いますが、長期的な経済の発展や株価の予測などは様々なデータを取り込んで解析することが重要であり、背後に高度なシミュレーション技術が隠れていたりします。現代社会ではこれまでの縦割り的な文系や理系といった区分に収まらない部分が増えてきており、高専で学んだ工学の知識を基にした出口はどんどん拡がっています。

さらに、現代社会では情報系技術やAI技術の急速な発展により、かつてないほど速いスピードで物事が変化しています。また、これまで通用していた技術だけでは不十分になる事が多く、常に新しい技術を学び続ける必要があります。つまり、これからの社会は

学びを継続する力(学習歴の更新) > 最終学歴

です。そうした意味で、既存の枠にとらわれない新しい挑戦がどんどんできる時代です。挑戦するための基盤となる経験を積める場所として高専は魅力的と思います。

 

専攻科は研究が中心のカリキュラム

高専の専攻科は、高専卒業後、更に2年間高専で学ぶ課程で、修了後には学士号(大学卒業と同じ資格)を取得することが出来ます。カリキュラムの特徴は、研究に多くの時間をとっていることで、5年生での卒業研究と合わせて3年間同じ研究に携わる事が出来ます。結果として、研究を進めるための知識や自分の興味に応じて物事を実践的に掘り下げていく能力が身に付きます。また多くの学生が、この間に学会発表に挑戦します。時には国際学会で発表する事もあります。大学生相当の年齢で学会発表まで挑戦できる環境はとても刺激的です。また、専攻科修了後に大学院に進学したい場合、専攻科での研究を基にした総合選抜型試験にて進学する学生も年々増えています。

専攻科にて学士号を取得するメリットとして経済的負担が軽いこともあります。公立高校から国立大学へ進む進路と比較して100万円ほど、学費が安くなります。

学費の比較についての詳細情報

 

密かな高専の強み、OB/OGネットワーク

高専は卒業したら終わりの学校ではないんです。鶴岡高専には峰友会というOB/OGが所属する会があり、卒業後も様々な相談に乗ってもらえます。
例えば、就職で関東方面に出たんだけど、家の都合で地元に戻りたいという場合、地元での就職について相談にのってもらえます。高専生は、高校世代でみれば少数派ですが、これまでの8000名を超える卒業生がつながっていることで、卒業後も就職を含めた様々なサポートを受けることが出来ます。

また、寄付を頂くなど学校運営もサポート頂いおり、在校生にとっても力強い味方です。

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