クイーンズランド大学 野北教授が来校 ― 持続可能なエネルギーと材料技術を学ぶ ―

 2026年1月30日(金)、オーストラリアのクイーンズランド大学より、野北和宏教授をお迎えし、本校にて特別講演会を開催しました。本講演会では、持続可能な社会を支えるエネルギー・材料技術をテーマに、2つの講演が行われました。

○ソーラーカーレースから学ぶ電気自動車の信頼性
 Forget about range anxiety for electric vehicles, how about solder joint reliability?

 第一講演では、太陽光自動車および電気自動車を用いた実証研究の取り組みが紹介されました。野北教授は、オーストラリア縦断の世界最大級ソーラーカーレースであるPanasonic Global Green Challenge 2009、The Bridgestone World Solar Challenge 2013への参加経験をもとに、過酷な実環境下で求められる電気・電子部品の信頼性について解説されました。
 特に、制御基板、リチウムイオン電池端子、モーターケーブル接合部に用いられた鉛フリーはんだに焦点を当て、EUをはじめとする世界的な鉛規制の流れの中で、環境対応と高信頼性を両立させる材料開発の重要性が示されました。
 本講演は、3年化学・生物コースの学生40名および教員4名を対象に実施され、実社会と直結した材料工学の話題に、学生たちは高い関心を示していました。

○太陽光発電と水素が切り拓くエネルギー社会
 Powering the Sunshine State After Dark – Combining Solar with Hydrogen-

 第二講演では、再生可能エネルギーを安定して利用するための鍵として注目される「水素エネルギー」について、基礎から応用までを分かりやすく解説いただきました。
 野北教授は、マグネシウム–ニッケル(Mg–Ni)系合金に着目し、鋳造という比較的シンプルで低コストな手法によって、水素の吸収・放出が高速かつ安全に行える水素貯蔵材料の開発に成功した研究成果を紹介されました。この材料は、ナノメートルサイズの微細構造を有し、万一の損傷時にも水素の急激な放出を防ぐ「自己保護的特性」を備えています。これらの研究は実用化へと発展し、スピンオフ企業である Hydrexia Pty. Ltd. の設立につながりました。同社は 、クイーンズランド州において新たな雇用創出にも貢献しました。
 本講演には、1~5年生、専攻科生、本校教職員、地域企業関係者など計45名が参加し、将来のエネルギー社会を考える貴重な学びの機会となりました。

おわりに
 本講演会終了後には、専攻科1年 応用化学コースの学生6名との交流会(座談会)も実施されました。交流会では、海外大学での研究生活、研究テーマの見つけ方、博士課程進学や企業就職といった進路選択に関することなど、学生から多くの質問が寄せられ、活発な議論が交わされました。
 野北教授は、ご自身の研究経験や国際共同研究の実例を交えながら、一つひとつの質問に丁寧に答えられ、研究に向き合う姿勢や、世界を舞台に活躍する研究者としての考え方を率直に語ってくださいました。交流会は予定時間を超え、1時間近くにわたって行われ、学生にとって非常に密度の高い学びの場となりました。

 講演および交流会を通じて、最先端の研究が社会実装へとつながるプロセスを知るとともに、進路や将来像について具体的に考える貴重な機会となりました。本校では今後も、国内外の研究者や技術者との交流を通じて、学生が視野を広げ、主体的に学びを深められる教育活動を推進していきます。
 なお、第二講演は、東北工学教育協会様より助成を受けて実施いたしました。この場を借りて御礼申し上げます。

講師 野北 和宏 教授

第一講演の様子(3年化学・生物コース授業内で学生に向けて)

第二講演の様子

野北教授と応用化学コース専攻科1年生との交流会