創造工学科化学・生物コース 伊藤滋啓助教 および 本校専攻科生産システム工学専攻電気電子・情報コース2年の髙橋崇典君が第27回日本MRS年次大会で奨励賞を受賞しました

この度、創造工学科化学・生物コースの伊藤滋啓助教および専攻科2年の髙橋崇典君(指導教員:内山潔教授)が、平成29年12月5日(火)から7日(木)にかけて横浜で開催されました第27回日本MRS年次大会で奨励賞を受賞いたしました。

今回の日本MRS年次大会は高専独自のシンポジウムである全国高専社会実装材料研究シンポジウム(高専シンポジウム)が初めて開催され、高専の教員・学生のみならず高専に関わる国研、大学、企業の方々が参加し発表が行われました。また発表テーマも幅広く材料のみならず、機械、ICT、農業、バイオと分野を問わず高専らしさが出た発表会となりました。

伊藤助教が奨励賞を受賞した研究テーマは「固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電性能を改善させるための助触媒添加効果の検討」です。燃料電池は発電の際に電極、電解質等で発電ロス(損失)を伴います。そのロスを如何に低減させることができるかで燃料電池の更なる高効率化、実用化につながります。数多く燃料電池に関する研究が多いなか、伊藤助教は研究報告例の少ないアノード(負極)に助触媒を微量添加することで発電性能を改善することを見出しました。この研究成果は、さらなる、燃料電池の発展に繋がることが期待されます。今後の研究の更なる進展を期待され、今回の奨励賞の受賞となりました。

髙橋君の発表テーマは“Effects of Sputtered Tantalum Oxide-Based Gate Insulators on Amorphous InGaZnO Thin-Film Transistor”(邦題:スパッタ作製した酸化タンタルベースのゲート絶縁膜がアモルファスInGaZnO薄膜トランジスタに及ぼす影響)というものです。これは高誘電体酸化物である酸化タンタル(Ta2O5)をゲート絶縁膜に用いることでInGaZnO(IGZO)を半導体層に用いた薄膜トランジスタの挙動にどのような影響を及ぼすか調べたもので、他の発表者の中にあって、この画期的な成功が高く評価され受賞となりました。

伊藤助教は今回の受賞に際し、「日本MRSにおいて初の高専シンポジウムが開催され、そのシンポジウムで奨励賞を受賞していただき大変光栄です。この受賞を励みにますます研究に精進し高専の研究力を各方面にアピールできればと思います。また本研究をまとめるにあたり様々な方々とディスカッションさせて頂きました。この経験は自分の研究室の学生との研究の進め方に活かして、今後は学生にもMRSで発表してもらいたいと思います。」と話されておりました。

髙橋君は本校専攻科修了後、奈良先端科学技術大学院大学へ進学予定であり、本研究も同大学との共同研究の成果を発表したものです。本受賞をきっかけにして髙橋君のさらなる活躍が期待されます。

表彰状(髙橋君受賞分)
左から、指導教員:内山教授、髙橋君、髙橋校長

 表彰状(伊藤先生受賞分)