第58回産業技術フォーラムを開催しました

 10月21日(土)、酒田駅前交流拠点施設ミライニにおいて、第58回産業技術フォーラムを開催しました。今回は『エネルギー・環境分野における炭素材料の重要性』と題し、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター 総括研究主幹 吉澤 徳子 氏よりご講演いただきました。

 はじめに、自己紹介・職場紹介を行っていただいた後、炭素材料の基礎事項についてご説明いただきました。リチウムイオン電池、燃料電池、航空機等の構造材など、炭素は身近な材料として、多くの場面で活用されており、原料確保から製造・廃棄までの全過程において、生態系や環境への負荷が少ない未来志向型の資源であることを教えて下さりました。

 続いて、ご自身の研究成果に基づき、エネルギー・環境用途に向けた炭素材料研究の事例をご紹介いただきました。今回は、主に低結晶性炭素材料および多孔質炭素材料を取り上げ、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察データに沿って、炭素の構造多様性についてご説明いただきました。さらに、カーボンナノチューブやグラフェンなどの新規炭素材料についてもご紹介いただき、炭素が産業界へ幅広い用途で展開されていることを教えて下さりました。

 あらゆる天然資源の可採年数に限りがある中、炭素は資源量が豊富な上、供給安定性にも優れており、今後のゼロエミッション社会の構築において重要な役割を果たすことが期待されている貴重な資源であることをお話いただき、参加者一同、炭素材料に関して理解を深めることができました。

   
吉澤 徳子 氏