教職員及び学生の受賞について

   この度、令和元年11月27日(水)から29日(金)にかけて横浜市で開催されました第29回日本MRS年次大会におきまして、若手研究者(40歳未満)の部で創造工学科機械コースの荒船准教授が、また学部学生の部で化学・生物コース専攻科2年渡会君、5年前田君が奨励賞を受賞し、2月に賞状が届き、髙橋校長へ報告を行いました。
 本賞は、日本MRSが年次大会において優秀な発表をした若手研究者及び学生に対して行う表彰で、選考委員会が表彰候補者のうち10%程度を受賞候補者として選び、理事会の審議を得て決定される栄誉ある賞です。
 荒船准教授の研究テーマは「表面偏析により形成したポリマーブラシの潤滑特性」です。自動車や家電の燃費改善・省エネには動力部の摩擦低減が重要ですが、そのような摩擦低減をもたらすコーティング材料の摩耗をどう防ぐかが課題となっています。本研究は低摩擦材料であるポリマーブラシをあらかじめ材料内部に埋め込み、必要に応じて材料内部から析出するような機構を作ることで、耐摩耗性の高い低摩擦材料として機能することを実証しました。
   渡会君の研究テーマは「高強度および高い熱安定性を有するダブルネットワークイオンゲル」です。ゴム並みの強度とスケートリンクのような低摩擦性を併せ持つダブルネットワークゲル(DNゲル)は人工関節や防汚コーティングなどへの応用が期待されていますが、乾燥に弱いという欠点があります。本研究ではイオン液体という高い耐熱性と不揮発性をもつ液体をDNゲルに充填し、強度や表面特性・耐熱性について検証することで高温にも耐える潤滑ゲルとして機能することを見出しました。
   前田君の研究テーマは「ラジカル重合によるアニオン性イオン液体型ポリマーの合成と特性評価」です。携帯電話などに用いられるリチウムイオン電池は燃焼性の電解液が充填されているため、より安全な不燃性の電池材料の開発と性能解析が求められています。本研究ではリチウムイオンと対となるアニオン性の不燃性材料としてアニオン性イオン液体型ポリマーを合成し、他のポリマー材料との比較解析から材料内部でどのようにイオンが動いているか、その違いについて検証しました。
受賞された3名のこれからの益々の活躍が期待されます。

 

校長室にて報告(左から、荒船准教授、前田君、髙橋校長、渡会君)