【研究紹介】「高電圧パルス電流を使用した松枯れ防止対策の研究 (共同研究/九電みらいエナジー株式会社)」

令和5年12月14日(木)から16日(土)までの3日間、創造工学科電気・電子コース宝賀剛教授および同研究室5年生2名、4年生1名、田中勝准教授の合計5名で、京都御所および姫路應聖寺に共同研究機関である九電みらいエナジー株式会社および樹木医の宗實久義様と共に「高電圧パルス電流による松枯れ防止対策」の研究先行事例視察と装置改良技術打ち合わせを目的に行ってきました。

日本での松くい虫被害は1905年(明治38年)に長崎県茂木町および長崎市で38本の松枯れ損木が発生・報告されたことが最初といわれています。この枯損原因の調査時には枯損木にはカミキリ等による食害があった事が明らかになっています。

全国で毎年300万本(約100万m2)にのぼるといわれ環境問題となっている松枯れの大きな原因は、松に飛来したマツノマダラカミキリが枝の樹皮を食べる際に、共生関係にあるマツノザイセンチュウが体内から出て来て、食べた傷口から木内に侵入し、急激に増殖し、通水阻害を起こすことによるといわれています。

防止策は薬剤の散布・注入が一般的ですが、環境への影響が懸念されます。今回共同研究する高電圧パルス電流を使用した装置はセンチュウの増殖防止に最適です。先行研究である電気による松枯れ防止方法は、電極と接地棒との間に定期的に18000[V]、8[mA]の高電圧パルス電流を通電時間0.2[秒/回]加えることで松を傷つけずにマツノザイセンチュウの活動を抑制する画期的な方法です。

今回、樹木医の宗實先生から各視察場所での松枯れ状況の説明を受けた後に、宗實先生ご自宅での装置使用状況、装置改善点などの技術打ち合わせもさせて頂きました。

本校でも11月27日(月)に校内のアカマツ9本の枯死被害があり、伐採作業による通行制限、費用の発生などが身近に起こっており、喫緊の課題となっております。今回の共同研究成果が早急に社会実装され、役立つことを希求して研究を進めてまいります。

樹木医 宗實先生による京都御所での状況説明

樹木医 宗實先生宅での装置使用状況