本校卒業生相馬匠さんの研究成果が 国際学術誌「IEICE Trans. Fundamentals」誌に掲載

 本校専攻科卒業生の相馬匠さん(令和4年3月専攻科卒)、金帝演准教授による論文「Image Segmentation-based Bicycle Riding Side Identification Method」が、国際学術誌「IEICE Trans. Fundamentals」に掲載されました。

「Image Segmentation-based Bicycle Riding Side Identification Method」
Jeyeon Kim, Takumi Soma, Tetsuya Manabe, Aya Kojima

論文は以下から無料でダウンロードできます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/transfun/advpub/0/advpub_2022WBP0003/_pdf/-char/ja

図1 自転車の走行方向識別の流れ

特徴
 本研究は、Semantic Segmentationを用いて自転車が道路のどちら側を走行しているかを識別するシステムを提案するものです。

研究の背景
 近年、自転車の需要が高まると同時に交通違反による自転車事故が問題となっています。特に道路の右側を走行した場合、危険性は左側走行の約2倍となります。このため、自転車の走行方向の識別手法が提案されていますが、実用性やコスト面についての検討が不十分でした。

概要
・本研究は、自転車用ドライブレコーダーやスマートフォンを使って撮影した画像に対してSemantic Segmentationを行い、車道領域を特定します。ここで、車道領域が画像中央から右側に広がっている場合、自転車は車道の左側を走っており、車道領域が左側に広がっている場合、自転車は右側を走っていることになります。
・構築したシステムを用いて様々な道幅や交通量の条件下で実験を行った結果、高精度で道路のどちら側を走行しているかを識別することができました。
・以上の結果より、本システムの有効性が示され、自転車の逆走運転による事故の減少が期待されます。

図2 走行サイドの識別例

 本研究は、鶴岡工業高等専門学校 専攻科 2年(当時)の相馬匠(そうま たくみ)さんを中心として実施されたもので、相馬さんは研究室での輪講などで精力的に活動してきました。
 専攻科1年時にも、積極性を発揮し計画的に研究に取り組み、ITS研究会で研究成果を発表、現在は埼玉大学の博士前期課程に在籍しており、更なる研究の発展が期待されます。

相馬さんのコメント:
 研究活動を通して、システムを1から構築するという貴重な経験をさせていただきました。学会での発表で得られた意見を参考に改良・発展を続け、本システムをより実用化に近づけることができるように努力していきたいと思っています。