卒業生リレーエッセイ【第31回】

社会の第一線で活躍中の本校卒業生からいただいたメッセージをリレー形式で紹介します。

 

第31回 ルスリム クリスティアン  氏

(工業化学科・第23期卒(1994年) アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株))

『鶴岡高専から出発して』

 インドネシアからの留学生として鶴岡高専に編入し、3年間の間、工業化学に関する専門技術だけではなく、日本での生活、日本語、日本の文化についても多く学びました。卒業後、東京農工大に編入し、特に高分子化学の分野について勉強しました。奨学金のおかげでその後、東京工業大学に移り、修士課程と博士課程に進学し、2001年に学位を取得しました。日本以外の先進国での研究も経験したく、その後ドイツに渡り、フラウンホーファー研究所にポストドクとして約2年間、光反応性高分子の研究を取り組みました。再び日本に戻り、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の産業技術養成技術者(NEDOフェロー)として、産業技術総合研究所で液晶に関する研究開発を行いました。その後、富士フィルムで光学材料の仕事に携わり、2005年に現在の会社に入社しました。現在、ポリロタキサンという超分子材料の研究開発を行っています。
 社会人になってから、何度も転職しました。利益を追求しない研究機関と民間企業とは目的が異なるため、研究開発スタイルの相違を強く実感します。特に弊社のようなベンチャー企業においては、開発テーマをじっくり取り組むことが難しく、開発内容が短時間で変化することもよくあります。また、種々の開発に関する現象について、深く解明する余裕があまりないのも事実です。多数の企業の開発者と接触することが多く、世の中の材料のトレンドや抱えている課題などに関する理解を深めて、開発の目標設定を変える場合も少なくありません。社会人経験がまだ浅いので在校生の皆さまに贈る言葉ほどではありませんが、皆さまの将来の活躍を期待しています。

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