卒業生リレーエッセイ【第25回】

社会の第一線で活躍中の本校卒業生からいただいたメッセージをリレー形式で紹介します。

 

第25回 渋 谷   嗣  氏

(機械工学科・第10期卒(1977年) 秋田大学教授)

『新しい方向を目指して』

 私は高専の卒業時に当時としては珍しい大学編入を選択しました。一般的に高校・大学の教育を受けた人とは違う道を進んだので、そのことだけでも得をしてきたように思います。おかげで、これまで秋田大学で研究を続けることができました。
 若いころにアメリカで2年間ポスドクとしてお世話になった先生から最後に、「Yotsugiは、アメリカに良く馴染んだ(洪水、転勤、ビザ、仕事、健康、事故などいろいろなトラブルを経験して)。この世界では、No.1でないと生き抜くことは難しい。これからどのようにNo.1になる。」とアドバイスを受けました。日本に帰れば、必ずしもNo.1でなくとも大丈夫と考えていましたが、今日のグローバルな世界で、それが通用しないのは明らかです。私の方針は「人と同じ道は避ける。」でした。人と違う方向を目指すと失敗が多いのですが、渋谷の仕事は、「一味違う」と言ってもらえれば、それはとてもうれしいことです。
 最近、外国の研究者の中から「日本は、最先端の産業が進んでいたのに、なぜ、そんなに衰退してしまったのか。」と質問されることがあります。それはどうしてでしょう。一度、No.2になると、取り戻すのは難しいことがわかります。私は「世界標準化の流れに出遅れた。新しい方向へ向かって努力を続ければ、その流れはまた日本に来ます。」と答えることにしています。

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