卒業生リレーエッセイ【第18回】

社会の第一線で活躍中の本校卒業生からいただいたメッセージをリレー形式で紹介します。

 

第18回 粕 谷 真 敬  氏

(工業化学科・第1期卒(1972年) オリエント・エンタプライズ(株)代表取締役社長)

『母校に感謝、会社に感謝』

 私は会社人生の3分の2を海外で過ごした。ジャパンアズナンバーワンの時代から、ニューヨーク勤務を皮切りにシカゴ、ドイツのハンブルクと25年。苦労もあったが、達成感もあった。
 40年前のアメリカはボールペン10本で1ドル、鉛筆1ダースが3ドルの世界であった。
 1本で数十倍もする価格のシャープペンシルを売るのは至難の業で、ペン先を変え、消しゴムを変え、様々な工夫を重ね徐々に市場を開拓していった苦労も今では楽しい思い出である。
 海外駐在中に1男1女をもうけたが、子供と触れ合う時間を充分にもてたことにも感謝している。子供の休みに合わせて、夏は氷河探検、冬は南国で海水浴を楽しみ、シカゴでは、ガンクラブを創設し、メンバーと互いに腕を競い合った。
 地の利を生かして、日本からでは遠い南米のマチュピチュやイグアスの滝などを訪れることもできた。ヨーロッパでは、自ら運転する車で国境を越えるという大陸ならではの経験も、得難いものであった。
 長男が生まれる朝、ニューヨークは数十年ぶりの大雪で、雪の回廊となってしまった高速道路を、やっとの思いで妻を病院まで送り届けたことも懐かしく思い出す。
 その折、病院のエレベーターで会った日本人女性の腕の中の赤ちゃんは、後に日本で一世を風靡した女性歌手になるのであった。
 海外で知り合った方々が帰国後も経済界で活躍されておられるのを見聞きする度に、懐かしく当時を思い出す。
 初代校長の林先生より学んだ「理魂工才」を座右の銘にして、世界を飛び回れたことに、誠に母校に感謝、会社に感謝である。

経歴
 昭和47年ぺんてる(株)入社。ニューヨーク及びシカゴの支社長に就任、ドイツぺんてる社長を経て、帰国後、執行役員営業部長兼東京支社長に就任。現在、ぺんてるの関連会社であるオリエント・エンタプライズ(株)代表取締役社長。

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